佐々木裕一「公家武者 松平信平 5 千石の夢」、「公家武者 松平信平 6 妖し火」(二見時代小説文庫)

2018年1月7日日曜日

佐々木裕一

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徳川家光の正室・鷹司孝子の弟で、公家の婿になったり、坊主になることを嫌った鷹司信平が、江戸へ下り、家光からわずか五十石の石高で旗本に召し抱えら、当時は草深かった深川に屋敷をもらったことからスタートして、幕府の転覆を狙う豊臣の残党や江戸を荒らす盗賊たちを相手に、獅子奮迅の活躍をして出世していく「公家武者」シリーズの第5弾と第6弾 


念願の千石超えまで、あと少し -- 「公家武者 松平信平 5 千石の夢」

加増を重ねて、松姫と同居できる千石にはあと三百石届かない。さて、最後のハードルを、どうクリアするかな、というところが、この第5巻
 
構成は
 
第一話 桜の花びら
第二話 千石の夢
第三話 妖しき女
第四話 盗賊
 
となっていて、今巻では、京都へ父親の病気見舞へ行くのだが、出発の時から、信平が都に行ったところで、京に留め置かれて、鷹司松平家はお取り潰しという噂が流れてくるので、どうも、信平に対しての嫉妬の渦が巻いているらしいね、と思わせる滑り出し。
 
第一話は、信平に会うために屋敷を抜け出す松姫の行動を制するため、父親の頼宣があれこれと(悪)知恵を絞る話。ここで、父親の病気見舞のために京都へ行く話が出てくるのだが、そのへんが妙に絡まって、なんとも話が複雑になる。
 
第二話は、見舞いのための江戸立ちまでと、京に着いて父親を見舞うといったところ。旅立ち間際の松姫との逢引が初々しい。幸いに父親の病気は、幸いなことにすぐさま命にかかわる状態ではなく、しかも、官位のほかに加増をされて晴れて・・・、となる。この話は、次の話での急転直下も知らずのめでたしめでたしまで。
 
第三話で突然の危機がやってくる。意外に生臭な剣の旧師に再会したのはいいのだが、昔のいじめっ子の囲い者である佐間一族という山の衆の女の操る幻術にかかって、あやうく命を落としそうになる。
 
第四話では、千石を超えて知行地を与えられることになるのだが、そこは盗賊の巣窟で、年貢が千石に見合う年貢が得られない地であるらしい。知行が千石を超えても実入りの少ないうちは、姫を添わすわけにはいかないと、紀伊大納言が横槍を入れる中、盗賊退治に乗り出す話。そして、本当の盗賊が誰か。本編を読んでくださいな。
 

巻も5つを重ねて、晴れて紀伊大納言の姫君・松姫と正式に結婚するお膳立ては整ったのだが、はてさて素直にそうなりますかどうか。

江戸は大火事に見舞われるが、信平が男気を示して声望を高める -- 「公家武者 松平信平 6 妖し火」

明暦三年のいわゆる振り袖火事が舞台。折角、松姫との新婚生活に備えて建てた新居も焼失。もっとも江戸城の天守も焼け、御三家の屋敷も焼け、江戸市中が大焼けに焼けた大火であるから致し方ないか。

 
構成は
 
第一話 妖し火
第二話 狙われた四千両
第三話 材木騒動
第四話 記憶
 
となっていて、今回は、振り袖火事で焼け出されてから、江戸市中が復興に向かって動き始め、そして、信平が紀州家の上屋敷のそばに屋敷地を拝領するといったのが大筋ではあるんだが、お決まりの、信平に妙な意地悪を仕掛けるヤツ(今回は作事奉行)は出て来るし、信平は、幕府の考えは放っといて、自分の屋敷の建て替えに幕府から提供された資金を出して、庶民が住む長屋を造るといったことを始めるし、とまあ、物語はてんやわんやではあるが、明るく進んでいくのが、このシリーズの良さでありますな。
 
途中、松姫の怪我の具合がぼかしてあって、さてはかなりの重症かと思わせるのだが、まあ、ここは安心してよいところ。このシリーズは後をひくようなエピソードは似合わないですよね。
 
まあ、今回は、江戸を襲った未曾有の災害をネタに儲けようとする材木問屋などが登場するにせよ、あまり悩まずにわはわは読んでいけば良い。
 
もうすぐ、信平と松姫と新婚生活が始まるのですね、と慶賀の念をお示しして、今回は了としましょうか

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日本の人口最少県の住人。なりわいは行政書士。読書好き、ガジェット好きの昭和人です。

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